Vol.186

高性能センサーへの対応とデザイン性の両立

更なる高性能化を実現。センサー対応インキ

高性能センサーのご利用をお考えのスマートフォン・自動車の開発担当者様にお知らせです!

センサー対応インキが、更に⾼機能化・⾼精度化されました。
透過光の調整機能の強化・ヘイズ値低減による透明度向上等、センサー機器の⾼性能化への対応とデザイン性向上を両⽴。

1. センサー対応インキとは

赤外線を透過して可視光・紫外線を遮断するセンサー対応インキ

センサー対応インキは、IR透過(赤外線透過)インキとも言い、センサーの誤動作の原因となる可視光・紫外線を遮断し、検知すべき赤外線のみを透過する加飾インキです。このインキにより、センサーの精度向上と受光口への加飾の両立が可能になります。

(A)検知したい赤外線と誤動作の原因となる可視光・紫外線、
(B)センサー対応インキにより遮断(吸収・反射)された可視光・紫外線、
(C)透過した赤外線

赤外線を透過して可視光・紫外線を遮断するセンサー対応インキの仕組み

(1)製品の筐体(PC・PETフィルム・ガラス等)、(2)センサー対応インキ、(3)センサーモジュール

センサー対応インキによる継ぎ目の無いシームレスなデザイン

センサー対応インキを利用することで、センサー受光口に周辺部と同色の加飾が可能となり、継ぎ目の無いシームレスなデザインが実現されます。

センサー対応インキによる継ぎ目の無いシームレスなデザイン

IR透過フィルムとセンサー対応インキの工程比較

センサー対応インキは、IR透過フィルムと比較し、工程が簡便で少なく、更に廃棄物の発生が無いなど、コスト面で優れています。

IR透過フィルム センサー対応インキ(IR透過インキ)
  • 裁断・貼り合せ等、工程が複雑
  • 廃棄物発生の可能性あり
  • 印刷・乾燥のみで工程が簡便。総工数も少ない
  • 廃棄物の発生なし
  1. ブラックフレームの印刷
  2. 最終乾燥(30分)
  3. OCAの貼り合せ
  4. フィルムの裁断
  5. フィルムの貼り合せ
  6. 養生
  7. 完成
  1. ブラックフレームの印刷
  2. 中間乾燥(10分)
  3. IR透過インキの印刷
  4. 最終乾燥(30分)
  5. 完成

2. センサー対応インキの高機能化とは

センサー対応インキの強化された機能

現在、自動車や電子機器等の様々な分野で、多様なセンサーが使用されるようになりました。それに伴い、センサーの多様化・高性能化も進みました。センサー対応インキは、それらセンサーの多様化・高性能化に合わせて機能強化が図られています。

強化された機能 詳細
透過光の選択機能
  • 透過光(赤外線)の立上り波長について調整が可能
    (用途・透過光の波長・加飾内容については、ご相談ください。)
透明性
(高透明IR透過インキ)
  • 従来から高かった全光線透過率を更に改善
  • 上記に加え、拡散透過率の低減も実現。ヘイズ値を下げて高透明を実現
  • 高い画像精度が求められる赤外線カメラの受光口の加飾(隠す)用途にも使用可能
可視光の隠蔽性
  • 両立が難しいIR透過機能と可視光に対する隠蔽性を両立
  • センサー対応インキ印刷部に光を照射しても透けない隠蔽性を実現
PAD印刷への対応
  • 曲面ガラスへのPAD印刷対応により、3D(立体物)対応を強化
  • スクリーン印刷と比較して同等のIR透過機能と加飾性を実現
耐候性
  • 染料系インキと違い顔料ベースのインキのため、高い耐候性を保有
  • そのため、スマートフォン・自動車などにも対応が可能

 

高透明IR透過インキ:全光線透過率の向上

高透明IR透過インキでは、元々高い全光線透過率を更に改善しています。

全光線透過率(Tt (%))

高透明IR透過インキとIR透過インキの全光線透過率を比較したグラフ

 

高透明IR透過インキ:拡散透過率の低減

高透明IR透過インキは、全光線透過率を改善することに加えて拡散透過率を低減することで、低ヘイズ値(高い透明度)を実現しています。

拡散透過率(Td (%))

高透明IR透過インキとIR透過インキの拡散透過率を比較したグラフ

 

高透明IR透過インキ:受光口への加飾と高精度な画像の両立

高透明IR透過インキを利用することで、センサー受光口への加飾と高精度なセンシング機能の両立が可能になります。写真は、メタリック色の高透明IR透過インキを印刷したシートを通して、非常にクリアな画像が得られている例です。

高透明IR透過インキの透過率の強化

 

可視光に対する隠蔽性の強化

IR透過(赤外線の透過)機能と相反する可視光に対する隠蔽性の強化を実現しました。以下は、従来のセンサー対応インキ(左)と隠蔽性を強化したセンサー対応インキ(右)に光を照射した比較画像です。

可視光の隠蔽性の強化

 

センサー対応インキのPAD印刷対応

センサー対応インキは、スマートフォン等に採用されている曲面ガラスへのPAD印刷に対応可能となりました。
写真は、加飾用インキを曲面ガラスにPAD印刷した例です。センサー対応インキも同様にPAD印刷が可能です。

センサー対応インキのPAD印刷対応

3. 高性能センサー対応インキの活用例

感染症対策。非接触スイッチへの応用

非接触スイッチとは、直接部位に触れることなく、手をかざすだけでオン・オフが可能なスイッチです。このスイッチは、赤外線センサーを内臓し、そのセンサーがかざされた手を検知することで、非接触のオン・オフを実現しています。

感染症対策。非接触スイッチの仕組み

(1)センサー対応インキを印刷したカバーガラス
(2)センサー本体(ICチップ)
(3)センサーが投光・受光する赤外線

 

スイッチ部に触れることなく、手をかざすだけで(写真左)、スイッチが入ります(写真右)。

感染症対策向け、非接触スイッチ

 

自動運転・安全に貢献する自動車用センサーへの利用

自動車は、安全性を高めるために多くのセンサーが使用され、用途により使用している波長も変わります。センサー対応インキのご利用の可否については、別途ご相談ください。

センシング対象 センサー名 内容
物体との「距離」 ミリ波レーダー ミリ波帯(波長1~10mm = 周波数30~300GHz)の電波を使うレーダー
物体・人の「動き」 モーションセンサー 物体・人の動き(加速度・傾き・方向等)を検出するセンサー
物体を3D把握 LiDARセンサー 赤外線で周囲の物体を3次元的に把握できるセンサー

 

センサー対応インキの加飾バリエーション

センサー対応インキでは、レッド・イエロー・グリーン・ブラック等の色味の使用が可能です。
(展示会の写真のため、塗膜に映り込みがあります。)

センサー対応インキの4種類の加飾バリエーション

 

パール色・メタリック調色とIR透過機能の両立

センサー対応インキは、パール色・メタリック調色など、IR透過機能との両立が難しい機能色にも対応しています。
写真は、指紋認証のセンサー受光口を美しいパール色やメタリック調色で加飾した例です。

スクリーン印刷を用いた指紋認証機器