FIM/IMD対応ニ液型インキについて
硬化剤の新設定(200硬化剤)により、成形用インキの適用範囲が広がりました。それに伴い、フィルムインサート成形(FIM)対応二液インキシリーズ(IPX、INQ)と各種硬化剤(200硬化剤、220硬化剤、240硬化剤、106硬化剤)の使用方法についてご提案致します。
1. インキ概要
FIMやIMD用の二液型インキとして、
・IPXインキシリーズ
・INQインキシリーズ
の2種類のインキがラインナップされております。
インサート成形時の成形樹脂との接着層は
・IMBバインダーシリーズ
をご使用下さい。
2. インキ特徴
名称 | インキの特徴 | 適応原反 | 活用例 |
---|---|---|---|
IPX | 二液型FIM/IMD用スクリーンインキ
|
PC 処理PET PC/PBT PMMA |
自動車銘板・内装 携帯電話 携帯オーディオ 家電銘板 PCの外装 ディスプレイ |
INQ | 二液型FIM/IMD用スクリーンインキ
|
TPU 柔軟性のある素材 |
携帯電話 メンブレンスイッチ 家電銘板 |
IMB | 一液型FIM/IMD用バインダー(接着層)
|
PC 処理PET |
FIM時の成形樹脂との接着層 |
3. 各種硬化剤の位置付け
当社成形用二液型インキ(IPX、INQ)は、硬化剤を選定する事により、最終仕様にあわせた性能を発揮させる事が出来ます。それぞれの硬化剤の位置付けを下記に示します。
106硬化剤 | 240硬化剤 | 220硬化剤 | 200硬化剤 | |
---|---|---|---|---|
IPXに使用した場合の塗膜の伸び率* | 130% | 140% | 170% | 250% |
特徴 | 素材への 接着性向上 |
標準 (IPX標準) |
柔軟 (INQ標準) |
超柔軟 |
(*)伸び率はフォーミング時に塗膜が断裂した時点の面積比を%で表示しています。
上記結果は、弊社における試験データであり、製品性能を保証するものではありません。最終製品の使用目的に合わせて、必ずご試験の上、ご使用下さい。
4. 使用方法
IMBバインダーの選定
IMBバインダーはFIM/IMDの成形樹脂により選定してください。
特徴 | 適応樹脂 | 下地インキ | |
---|---|---|---|
IMB-003 バインダー | 汎用 | PC、PC/ABS、ABS、PMMA、AS | IPX、INQ |
IMB-009バインダー | ミラーインキ用 | PC、PC/ABS | MIR |
インキの使用方法
①混合
使用直前に、インキ対して稀釈溶剤及び硬化剤を添加し良く攪拌して下さい。
- 稀釈溶剤はF-003:10~15%が標準です。他にF-002(速乾)、Z-705(遅乾)がございます。
- 硬化剤添加量は下記表をご参照ください。
硬化剤標準添加量
106硬化剤 | 240硬化剤 | 220硬化剤 | 200硬化剤 | |
---|---|---|---|---|
素材への 接着性向上 |
標準 (IPX 標準) |
柔軟 (INQ 標準) |
超柔軟 | |
IPX | 14% | 10% | 15% | 16% |
INQ | 4% | 3% | 5% | 6% |
② 乾燥
必ず80℃以上で加熱乾燥を行って下さい。(中間乾燥条件、最終乾燥条件については、次章をご参照ください。)乾燥不足の場合、硬化反応が十分に進まない為、正しい表面耐性が得られません。
③ 洗浄
御使用後の印刷版は、速やかにスクリーン洗剤で洗浄してください。
④ 保管方法
硬化剤単独でも空気中の水分と反応し、硬化することが御座いますので、ご使用後は必ず密閉状態で冷暗所に保管してください。
*安全な取り扱いについて
SDS(製品安全データシート)が用意されております。当社製品のSDSをご請求下さい。当社製品をお取り扱いの場合は「SDS」を参考にして、使用者の責任において実態に応じた適切な処置を講じてください。
5. 注意事項
注意点 | 理由 | |
---|---|---|
インキ | 稀釈溶剤、硬化剤は指定されたものをご使用ください。 | 指定以外の溶剤を添加した場合、性能が充分発揮出来ません。 |
硬化剤と混合したインキは再使用出来ません。 | 硬化剤添加後の可使用時間(ポットライフ)は室温(25℃)で4~5時間です。 | |
硬化剤は過剰に添加しないで下さい。 | 性能が発揮出来ないだけでなく、悪化させる場合があります。 | |
乾燥 | 中間乾燥は 80℃- 10分以内を推奨します。 | 中間乾燥が長い場合、硬化シワを起こす可能性があります。 |
最終乾燥は90℃-60分を推奨します。 | 最終乾燥を行わない場合、FIM/IMD時に発泡やインキ流れを起こします。 | |
フォーミングを行う場合は、過剰乾燥は避けてください。例)90℃-240分、90℃で半日等 | オーバーベークしてしまい、塗膜に割れが発生しやすくなります。 | |
印刷構成 | FIM/IMDを行う場合、必ずIMBバインダー(接着層)を印刷してから最終乾燥を行ってください。 | IMBバインダー印刷前に最終乾燥を行うと、塗膜とバインダーが接着しなくなります。 |
FIM/IMDを行う場合、IMBバインダーは当日中に印刷を行い、その後最終乾燥を行ってください。 | 硬化シワを起こす可能性があります。 | |
FIM | 印刷物作成後、1週間以内にフォーミングを行う事を推奨します。 | 硬化剤は経時でも反応する為、フォーミング時に塗膜の割れが発生する場合があります。 |
インキ流れや塗膜の割れが発生した場合は、弊社営業までご相談下さい。 | 研究所より詳しいアドバイスを提示致します。 |
6. その他
- スクリーンインキは、印刷面積、版メッシュ、印刷環境 ( 温度・湿度等 ) 、乾燥機の性能等により、乾燥性、硬化性、成形適性、塗膜耐性などが変化します。
- フィルムインサート成形(FIM)では、成形樹脂の品種や成形条件により、インキ塗膜と成形樹脂の接着性が異なりますので、バインダーと意匠印刷用インキの選定、印刷条件、成形樹脂の選定、成形時の条件設定など、複合的な要因が最終製品の性能に影響いたします。
⇒最終製品の使用目的に合わせて、必ずご試験の上、ご使用下さい。
尚、上記使用方法・注意事項・性能データは、弊社における試験結果であり、製品性能を保証するものではありません。貴社製作製品の性能については、実際の製品にてご確認下さい。