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第13回オートモーティブ ワールド 出展レポート
開催概要
第13回オートモーティブ ワールドは、自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など、 自動車業界における先端テーマの最新技術が一堂に集まる展示会です。
当社は、自動運転・安全運転に貢献するセンサー対応インキのご紹介、更に、デザイン性の向上・軽量化・コスト削減に貢献する ステルス印刷・FIM技術・電磁波シールド用インキなど、最新のインキ・印刷技術を出展致しました。
- 会期
- 2021年1月20日 ~ 22日
- 会場
- 東京ビッグサイト
- 公式HP
- https://www.automotiveworld.jp/
出展内容の一覧
1. 自動運転・安全運転に貢献するセンサー対応インキのご紹介
1. センサー対応インキ(赤外線透過インキ・IR透過インキ)とは
センサー対応インキとは、センサーが検知すべき光(赤外線など)の透過機能を持つ加飾インキです。 このインキを利用することで、センサー受光口にも周りの部位と同様な加飾を施すことが可能となります。 その結果、従来は困難であったセンサー機能と継ぎ目の無いシームレスなデザインの両立が実現出来ます。
また、センサー対応インキは、紫外線や可視光の透過や乱反射などを防止するため、 センサーの誤動作防止など機能性の向上にも貢献します。
(1)製品の筐体部(PC、PETフィルム、ガラス)、(2)誤動作の原因となる可視光・紫外線
(3)検知したい波長の光(赤外線)、(4)センサー対応インキ、(5)センサーモジュール
2. 安全・自動運転技術に欠かせないセンサー対応インキ
自動車の安全性向上や自動運転の実現のためには、自動車に多くのセンサーの搭載が必要となります。 例えば、物体や人との距離を把握するミリ波レーダー、それらの動きを把握するモーションセンサー、 また、それらを含む周囲の状況を立体的に把握するLiDARセンサー等です。
センサー対応インキは、安全性向上・自動運転に欠かせない各種センサーについて、 加飾と機能性の向上の両面から貢献します。
センシング対象 | センサー名 | 内容 |
---|---|---|
物体との「距離」 |
ミリ波レーダー |
ミリ波帯(波長1~10mm = 周波数30~300GHz)の電波を使うレーダー |
物体・人の「動き」 |
モーションセンサー |
物体・人の動き(加速度・傾き・方向等)を検出するセンサー |
物体を3D把握 |
LiDARセンサー |
赤外線で周囲の物体を3次元的に把握できるセンサー |
ミリ波レーダーを透過するエンブレムの加飾例
金属調に美しい青色が表面印刷された例
「株式会社名栄社」様提供
2. 隠すデザインの実現。ステルス印刷(隠し印刷)のご紹介
1. ステルス印刷(隠し印刷)とは
ステルス印刷(隠し印刷)とは、バックライト照射時に意匠が現れる印刷表現です。 マットクリアー・透過色・墨抜きパターンを多層印刷することで実現します。 このステルス印刷により、驚きを演出する動きのあるデザインが可能となります。
(1)表: マットクリアー、(2)PC基材、(3)裏1層目: 透過色、(4)裏2層目: 墨抜きパターン
(1)印刷、(2)成形、(3)バックライト照射(文字が現れる!(驚きを演出する動きのあるデザイン))
2. ブラックアウト・ホワイトアウト・メタリック調への対応
ステルス印刷は、ベース色と透過色に様々な色を選択することが可能です。 ブラックアウト(黒色ベース)では、ピアノブラック(漆黒)やマットブラック等を選ぶことが出来ます。 また、ホワイトアウト(白色ベース)やメタリック色ベースでもステルス印刷を施すことが可能です。 ステルス印刷は、自動車のインジケータを液晶からLEDに代替にすることで コスト削減や軽量化に貢献するなど、応用範囲の広い技術となります。
ホワイトアウトにステルス印刷を施した例
メタリック調をベースに透過色を複数施したステルス印刷の例
3. LED光源との組合せによる同一部位上での画像の切り替え(チェンジング)
ステルス印刷では、波長が揃ったLED光源を使い、同一部位に違う画像を施すこと(チェンジング)も可能です。 以下は、同一部位に赤色LED光照射時と青色LED光照射時の二種類のデザインを施した例です。
3. 感染症対策に有効な非接触スイッチの加飾技術のご紹介
1. 感染症対策に有効な非接触スイッチとは
非接触スイッチとは、直接部位に触れることなく、手をかざすだけでオン・オフが可能なスイッチです。 このスイッチは赤外線センサーを内蔵し、そのセンサーがかざされた手を検知することで、 非接触のオン・オフを実現しています。
この非接触スイッチ技術を支えるのが、センサー対応インキ(赤外線透過インキ・IR透過インキ)です。 このセンサー対応インキを非接触スイッチに利用することで、スイッチ外装に内蔵するセンサーを隠す 自由なデザインを施すことが可能になります。更にこのインキは、紫外線や可視光による誤動作防止など、 スイッチの機能性向上にも貢献します。
(1)センサー対応インキを印刷したカバーガラス、(2)センサー本体(ICチップ)
(3)センサーが投光・受光する赤外線
非接触スイッチにかざされた手(写真左)。反応した非接触スイッチ(写真右)
4. デザイン性・機能性を向上させるステルス印刷の応用技術のご紹介
1. 細線を利用した精巧な印刷表現とステルス印刷の両立
ステルス印刷は、ベース色や透過色の自由な設定に加えて、細線を使った緻密な造形など 複雑なデザインを施すことも可能です。そのため、不要な時には隠して必要な時のみ 光による精巧で高級感のあるデザインを描くという演出効果のある表現が可能になります。
ブラックアウトした漆黒デザイン(バックライトなし)
漆黒に映える細線による美しいデザイン(バックライト照射時)
2. 木目調などの精巧な印刷表現とステルス印刷の両立
ステルス印刷は、グラデーションを駆使した木目調デザインや漆黒調デザインなどと両立することが可能です。 そのため、既に精巧なデザインで加飾された部位にも、光の演出や状態表示の機能を 新たに付与することが出来ます。
高級感のある木目調デザインと漆黒調デザインへの応用例(バックライト照射(右))
「中沼アートスクリーン株式会社」様提供
3. 皮革調の素材感とステルス印刷の組合せによる高級感と機能性の両立
ステルス印刷は、意匠性の高い素材に新たなデザインや機能性を追加することが可能です。 以下は、透過皮革の例になります。透過皮革とは、本物の皮革のような意匠性を実現した素材(ウレタン系素材)と ステルス印刷を組み合わせる技術になります。この技術を利用することで、皮革の高級感と機能性を両立する 今までにないデザインが可能となります。
高級感のある皮革デザインにステルス印刷が施された透過皮革の例(バックライト照射(右))
「株式会社サカイヤ」様提供
5. 曲面ディスプレイを美しく加飾するFIM技術のご紹介
1. デザイン性と軽量化に優れた樹脂製の曲面ディスプレイとは
自動車の運転席の表示パネルは、安全性・居住空間性・デザイン性の向上を追求するに伴い、樹脂を成形して製造する 曲面ディスプレイが利用されるようになりました。 曲面ディスプレイの利用により、車内状況に合わせたデザインが容易になり、更にディスプレイパネルの軽量化も実現しました。 この曲面ディスプレイの額縁等を美しく加飾する技術がFIM(フィルムインサート成形)技術となります。
形状が複雑な成形ディスプレイの額縁の加飾に対応するFIM技術
2. FIM(フィルムインサート成形)とは
FIM(フィルムインサート成形)とは、予め意匠印刷を行った熱可塑性樹脂フィルムを成形樹脂材料と 一体成形することで成形物を加飾する工法になります。この工法は、塗装と比較して、簡便で低コスト・ デザインの自由度が高い(多色・細線が可能)など、優れた特徴があります。
(1)スクリーン印刷、(2)フォーミング、(3)インジェクション
(a)熱可塑性樹脂フィルム、(b)インキ層、(c)バインダー層、(d)成形樹脂
6. 軽量化・コスト削減に貢献。スクリーン印刷によるフィルムラッピングのご紹介
1. スクリーン印刷によるフィルムラッピングとは
フィルムラッピングとは、カーラッピングとも言い、専用のフィルムを車体に張り付けることで、 自由にデザインや質感を表現する工法になります。
特に、スクリーン印刷を施したフィルムを利用することで、塗装のような深い色合いだけでなく、 塗装では実現出来ない多色デザインを自動車に施すことも可能になります。 また、フィルムラッピングは、塗装と比較して工程が容易で安価なため、数年ごとに愛車の外装を変えるなど カスタマイズの自由度を広げる技術になります。
2. 車体軽量化・環境対策・コスト削減に対応
現在の自動車は、軽量化の追求に伴い塗装が難しい外装素材(CFRPなど)も使用されるようになりました。 フィルムラッピングは、そのような多様な素材にも、安価に対応が可能な工法です。 更に、塗装と比較して環境負荷物質の排出も無く環境に優しい工法になります。
7. 安価・軽量な電磁波対策、電磁波シールド用インキのご紹介
1. 電磁波シールド用インキとは
電磁波シールド用インキは、導電インキの一種であり、導電性を有する塗膜が電磁波の侵入・漏洩を遮断(シールド) するインキです。導電性が高いほど電磁波シールド性能が高くなります。 このインキを利用することで、印刷により電磁波シールド機能を施すことが可能になります。
以下は、パソコン画面から放射される電磁波(この例では、放射電界を計測)を電磁波シールド用インキの印刷物で シールドした例になります。 放射電界が、通常時の計測値(128 V/m)(左)から計測不能(0 V/m)(右)までにシールドされています。
2. 印刷方式のメリット
印刷による電磁波のシールドは、金属箔を使用する他の工法と比較して、低コスト化や軽量化に優れた工法です。 また、必要な部分のみの印刷やメッシュ印刷による光透過性との両立など、他の工法では難しいカスタマイズ対応も 可能です。更に湿度に対する耐性にも優れています。
3. 電磁波シールドインキの性能
製品名 | 表面抵抗値 Ω |
0.3 – 3 MHz |
3 – 30 MHz |
30 – 300 MHz |
0.3 – 1 GHz |
---|---|---|---|---|---|
MRX-HF 00127 TD DS グレー |
100Ω |
30-60dB |
40-60dB |
20-40dB |
18-22dB |
MRX-HF 00127 TAU DS 茶 |
1Ω |
40-65dB |
65-80dB |
65-80dB |
50-60dB |
電磁波シールドインキのシールド性能値
– 試験条件:膜厚 15µm、試験基材 PC、乾燥条件 80°C-30分
– 印刷条件:グレー T-250メッシュ、Z-004溶剤 5%、210硬化剤 5%
茶 T-250メッシュ、SM-800添加剤 10%、210硬化剤 5%
8. 立体物の加飾を美しく安価に実現するFIM技術のご紹介
1. 複雑な形状の立体物への加飾に力を発揮するFIM技術
FIM(フィルムインサート成形)は、前述の曲面ディスプレイの額縁加飾に利用される技術になります。 このFIM技術は、凹凸のあるより複雑な形状の立体物の加飾や多色デザインによる加飾にも力を発揮します。
例えば、複雑な造形物への加飾や複数色を用いる意匠の加飾は、塗装技術では非常に難しい工程となります。 しかし、FIM技術では、下の写真のように印刷と成形で加飾を行うため、それらを容易に実現します。
(1)スクリーン印刷、(2)フォーミング、(3)インジェクション
2. 複数部品の一体化による大幅なコスト削減を実現するFIM技術
FIM技術は、色や素材感の違う複数の部品を印刷と成形で一体化して製造する技術でもあります。 この一体化の技術により、 大幅な工程削減・コスト削減が可能になります。
なお、FIM技術に対応したインキには、100µmスケールの細線やドットを高品質に印刷する 高精彩インキ(高精細スクリーンインキ)もあり、多様な表現を選択することが可能です。
FIM用高精彩インキ(高精細スクリーンインキ)を利用した例
3. FIM技術に対応したFIM成形用インキ
FIM技術に対応したインキは、FIM成形用インキで、耐熱性と伸び性に優れたインキとなります。 FIM成形用インキには、用途に合わせて様々な機能に特化したインキが準備されています。
製品名 | タイプ | 特徴 | 使用実例 |
---|---|---|---|
XIP-HF |
二液 |
100µmの細線も高い精度で印刷可能(片側ダレ幅:8µm以内) |
二輪・四輪自動車銘板、家電、キッチン銘板、モバイルフォン、パソコン |
二液 |
高速印刷性、耐熱黄変成 |
家電、キッチン銘板、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、レンジ、炊飯器 |
|
二液 |
耐インキ流れ性、高塗膜耐性 |
二輪・四輪自動車銘板、家電、キッチン銘板、モバイルフォン、パソコン |
|
二液 |
PP原反・TPU原反への適応、柔軟性 |
二輪・四輪自動車銘板、バイクカウル、タッチパネル、ハウジング |
|
一液 |
高い伸び性、作業性 |
二輪・四輪自動車銘板 |
|
一液・二液 |
透明性、鏡面保持機能、レベリング性 |
パチスロ液晶前面板 |
|
二液 |
透明性、低クラック性、MIR押さえ用インキ |
モバイルフォン、ITO膜保護層 |
|
一液 |
二液インキ用バインダー(成形樹脂とインキ塗膜の接着層) |
|
9. 高性能センサーに対応する高透明 IR透過インキのご紹介
1. 高透明 IR透過インキとは
高透明 IR透過インキとは、従来のIR透過インキと比較して、透過光量の向上と 誤動作の原因となる光の拡散性を低減したインキになります。
このインキは、自動運転のために高性能化するセンサーに対して、機能性とデザイン性の向上を 両立するインキとなります。以下は、高透明 IR透過インキと従来品との透過率・拡散性の比較になります。
全光線透過率 |
拡散性(拡散透過率) |
2. 高透明 IR透過インキと従来品との画像比較
以下は、実際のモーションセンサーに高透明 IR透過インキと従来品を利用した画像比較になります。 従来品(写真上)と比較して、高透明 IR透過インキ(写真下)は、手の造形が鮮明に検知されています。
10.展示会動画はこちら!
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