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第29回 液晶・有機EL・センサ技術展 出展レポート
開催概要
第29回 液晶・有機EL・センサ技術展(ファインテック ジャパン)は、電子ディスプレイ (液晶、有機EL、量子ドット、マイクロLED)から、その製造装置、材料技術までが一堂に出展する技術展です。
当社はこの技術展に、電磁波シールド用インキ、ブラックマトリックス用インキ、センサー対応インキ(IR透過インキ)、 高精彩インキ(高品位・高精細スクリーンインキ)等、最新のインキ·印刷技術を出展致しました。
- 会期
- 2019年12月04日 ~ 06日
- 会場
- 幕張メッセ
- 公式HP
- https://www.ftj.jp/ja-jp.html
出展内容の一覧
- 1. コスト削減や軽量・薄型化に貢献する電磁波シールド用インキのご紹介
- 2. 大幅なコスト削減に貢献するブラックマトリックス用インキのご紹介
- 3. シームレスデザインを実現するセンサー対応インキ(IR透過インキ)のご紹介
- 4. ステルス印刷(隠し印刷)による動きのある新しいデザインのご紹介
- 5. 高精度印刷による高級感の実現。高精彩インキ(高品位・高精細スクリーンインキ)のご紹介
- 6. 曲面ガラスの加飾技術のご紹介
- 7. 機能性墨インキ(I)ピアノブラックインキのご紹介
- 機能性墨インキ(II)後加工性に優れたガラス用インキ(GIZ-HF)のご紹介
- 8. 視認性向上に貢献するディスプレイ用クリアーのご紹介
- 9. ディスプレイの軽量化・コスト削減に貢献。FIM(フィルムインサート成形)のご紹介
1. コスト削減や軽量・薄型化に貢献する電磁波シールド用インキのご紹介
1. 電磁波シールド用インキの仕組み
電磁波シールド用インキは、導電機能とスクリーン印刷適正を両立したインキです。 このインキを電子機器の内部構造に合わせて、筐体等に最適な回路パターンで印刷することで、 内部で発生する電磁波の漏洩や外部で発生した電磁波の侵入の低減が可能となります。
2. 電磁波シールド用インキと他のシールド技術の比較
電磁波シールド用インキと他の技術との比較は以下の通りです。特に、低コスト化・薄型化・軽量化に優位性があります。
技術 | コスト | 特徴 |
---|---|---|
電磁波シールド用インキ |
工程がシンプルで安価 |
|
電磁波シールド用 |
貼付工程により |
|
金属箔、金属薄膜形成等 |
印刷より高価 |
|
3. 電磁波シールド用インキのディスプレイへの応用
電磁波シールド用インキは、印刷パターン等を工夫することで光透過性と電磁波シールド機能の両立が可能です(上記参照)。 そのため、ディスプレイ等の光透過性が求められる部位に使用されるメッシュ型の電磁波シールド用フィルムの代替も可能になります。 フィルムの印刷への代替は、製造コストの削減やディスプレイの薄型化・軽量化に貢献します。
スモーククリアーを印刷したパネルに電磁波シールド用インキをパターン印刷した例
2. 大幅なコスト削減に貢献するブラックマトリックス用インキのご紹介
1. スクリーン印刷によるブラックマトリックス
ブラックマトリックス用インキは、フォトリソグラフィで製造していたブラックマトリックスをスクリーン印刷で代替するためのインキです。
線幅が100µm以上ならば代替が可能です。(条件により更に細い線幅も可能です。ご相談ください。)
ブラックマトリックスの印刷例(細幅:100µm, 基材:ガラス)
上記ブラックマトリックスの拡大写真
2. ブラックマトリックス用インキと他の技術との比較
ブラックマトリックス用インキと従来のフォトリソグラフィの比較は以下の通りです。 ブラックマトリックス用インキは、実現できる線幅の限界値がフォトリソグラフィに劣りますが、代替が可能な範囲ならば 工程の簡素化・コスト削減に大きく貢献することが可能です。
技術 | コスト | 特徴 |
---|---|---|
ブラックマトリックス用 |
工程がシンプルで安価 |
・L/S 100µm(更に細い線幅はご相談ください。) |
フォトリソグラフィ |
設備・工程が複雑で高価 |
・スクリーン印刷では不可能な数µmレベルの細線が可能 |
3. シームレスデザインを実現するセンサー対応インキ(IR透過インキ)のご紹介
1. センサー対応インキ(IR透過インキ)の仕組み
センサー対応インキ(IR透過インキ)は、インキの塗膜に照射される光の中から センサーが検知したい波長の光 (指紋認証センサーの場合は赤外線)のみを透過させ、誤動作の原因となるその他の光(可視光や紫外線)を 遮断するインキです。このセンサー対応インキにより、様々な色を使用した自由なデザインと センシング機能の精度向上が同時に可能となります。
指紋認証センサーにセンサー対応インキ(IR透過インキ)を利用する仕組み
2. センサー対応インキによるシームレスデザイン
センサー対応インキを指紋認証センサーに応用すると、指紋を検知する赤外線センサーの受光口に 筐体と同様の加飾が施せるため、切れ目のないシームレスなデザインが可能となります。 なお、キラキラ感のあるパール色のインキにIR透過機能を付与することも可能です。
指紋認証センサーの赤外線受光口に筐体とシームレスなデザインを施した例(赤丸部分)
4. ステルス印刷(隠し印刷)による動きのある新しいデザインのご紹介
1. 可視光の透過を制御するステルス印刷(隠し印刷)
ステルス印刷(隠し印刷)は、可視光領域の光の波長を透過するように設定されたインキで加飾することで バックライト照射前には想像しなかったデザインを照射時に表現する印刷手法です。
(1)表:マットクリアー層 (2)PC基材 (3)裏: 1層目: IR透過インキ (4)裏: 2層目: 墨抜きパターン
(1)印刷 (2)成形 (3)バックライト照射(文字が現れる!)
2. ステルス印刷(隠し印刷)をデザインに応用した例
隠蔽性のあるインキとの組合せにより意外性のあるデザイン、警告灯などメッセージ性のある加飾に応用が可能です。
通常時(写真上)とバックライト照射時(写真下)は大きく印象が変わります。(左は高隠蔽墨インキ)
5. 高精度印刷による高級感の実現。高精彩インキ(高品位・高精細スクリーンインキ)のご紹介
1. 高精彩インキ(高品位・高精細スクリーンインキ)の7つの便益
高精彩インキは、微細印刷性だけでなく印刷工程の削減・作業性の向上等 7つの便益を保有しています。
便益 | 内容 |
---|---|
便益1: 微細印刷性 |
|
便益2: ベタと細線の同時印刷 |
ベタ・グラデーション・細線の混在デザインを一つの版で印刷可能 |
便益3: ソーエッジ対応性 |
10µm以下のソーエッジ(印刷境界の凹凸)で美しい直線・円を実現 |
便益4: 連続印刷性 |
1500枚の連続印刷を細線・ドットに変化なく印刷が可能 |
便益5: 高速印刷性 |
シリンダー印刷機で800~1500枚/時で微細印刷が可能 |
便益6: 再印刷性 |
1時間印刷機を停止した後でも印刷の再開が可能 |
便益7: 版洗浄回数の低減 |
従来の300枚に一回の版洗浄を1500枚に一回に削減 |
2. 微細印刷性による高級感の付与
高精彩インキの優れた微細印刷性は、今までスクリーン印刷で実現できなかった精密で高級感のあるデザインを可能にします。
高精彩インキとミラーインキを組合せた高級感のあるモダンなデザイン(基材:ガラス、ライン幅100µm)
3. 微細印刷性の応用による新しい表現
高精彩インキの微細印刷性は、立体調印刷に応用することで今までにない新しい質感を表現することが可能です。
高精彩インキによる立体調デザインの例
6. 曲面ガラスの加飾技術のご紹介
ディスプレイガラスの曲面化への対応
スマートフォンのガラスディスプレイは、携帯性・デザイン性の向上を目指し、曲面を採用する機種が出てきました。 従来のスクリーン印刷技術は、曲面への印刷は難易度が高いものでしたが、パッド印刷の応用や曲面に対応した スクリーン印刷機により曲面への印刷も可能となりました。
窓枠部分に曲面を採用したガラスの窓枠印刷の例
豊富なカラーバリエーションの例
7. 機能性墨インキ(I)ピアノブラックインキのご紹介
1. 色の計測値(SCE(正反射光除去)方式)による通常墨との比較
ピアノブラックインキ(漆黒インキ)は、通常の墨インキと比較してより深い黒色を表現しています。 SCE(正反射光除去)方式による計測でも明度L値が1.0以下の0.70となる漆黒性を実現しています。
SCE | 通常 墨インキ | ピアノブラックインキ | |
---|---|---|---|
色 |
L* |
4.97 |
0.70 |
a* |
– 0.15 |
0.27 |
|
b* |
0.80 |
1.03 |
2. 高級感を演出するピアノブラックインキ(漆黒インキ)
ピアノブラックインキ(漆黒インキ)は、通常の墨インキが表現出来ない深い黒色を表現します。 この深い黒色は、漆塗りの高級品のように商品の上品さ・高級感の演出に貢献します。
光照射によって明確になるピアノブラックインキ(左)の黒の深さ(右は通常の墨インキ)
機能性墨インキ(II)後加工性に優れたガラス用インキ(GIZ-HF)のご紹介
1. 高い耐Glue性(接着剤・両面テープに対する耐性)による優れた後加工性
GIZ-HFは、高い耐Glue性(接着剤・両面テープに対する耐性)を保有するガラス用スクリーンインキです。 この高い耐Glue性は、加飾済みガラスの接着剤を使った貼り合わせ工程などの後加工の品質向上に貢献します。
接着剤・両面テープの成分に侵されないGIZ-HFの塗膜(左)と侵された通常インキの塗膜(右)
2. 高いダイン値による塗膜上のはじき防止
GIZ-HF939 NC BLACKは、表面張力に関係するダイン値を従来の35程度から42以上に高めました。この高いダイン値は、印刷後の 上塗り工程のはじきの問題を解決します。
ペンで上塗りしたマークをはじかないGIZ-HF939 NC BLACKの塗膜(左)とはじいている通常インキの塗膜(右)
8. 視認性向上に貢献するディスプレイ用クリアーのご紹介
光学特性(光沢度・透過度)を自由に設定可能なクリアー
ディスプレイ用クリアーは、外光を反射する光沢度であるグロス値と光の透過度であるヘイズ値を自由に調整が可能です。 これらの光学特性を自由に設定出来る機能は、ディスプレイの使用環境に合わせたアンチグレア(反射防止)や 透明度の設定を可能にし、視認性の向上に大きく貢献します。
ディスプレイ用クリアーのグロス値の比較(グロス値(5, 10, 20(左から))
ディスプレイにクリアーを印刷した例(グロス値(5, 10, 20(左から))
9. ディスプレイの軽量化・コスト削減に貢献。FIM(フィルムインサート成形)のご紹介
1. FIM(フィルムインサート成形)とは
FIM(フィルムインサート成形)は、予め意匠印刷を行った熱可塑性樹脂フィルムを成形樹脂材料と一体化させて製品を 作成する工法です。この工法は、複数部で構成された部材をインサート成形で一つにまとめて加飾が可能なため、 工程削減・コスト削減に貢献します。
(1)スクリーン印刷 (2)フォーミング (3)インジェクション
(a)樹脂シート (b)インキ層 (c)バインダー層 (d)成形樹脂
2. ガラス代替による軽量化とコスト削減の実現
FIM技術を利用することでディスプレイパネルをガラスから樹脂へ転換し軽量化を図ることが可能です。 また、ガラスの加飾・組立て工程と比較してFIMでの加飾工程はシンプルなため大幅なコスト削減も期待できます。
FIM技術を利用した筐体と一体型のディスプレイ(角に丸みのある仕上がりを実現)
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