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第27回ファインテックジャパン 出展レポート
開催概要
「第27回ファインテックジャパン」は、電子ディスプレイ、有機エレクトロニクス(有機EL、固体照明、有機太陽電池)、 IoT機器の開発・製造に関する技術が一堂に会する総合技術展です。
当社は、2016年7月に発表した高精彩インキ(高品位・高精細スクリーンインキ)、センサー対応インキ(センサーインキ)を 中心に最新の印刷・インキの技術をご紹介致しました。
- 会期
- 2017年04月05日 ~ 04月07日
- 会場
- 東京ビッグサイト
- 公式HP
- http://www.ftj.jp/ja/Home/
出展内容の一覧
1. センサー対応インキ(IR透過インキ)のご紹介
1.IR透過インキとは
IR透過インキとは、赤外線(IR)のみを通し、その他の可視光(目に見える光)や紫外線(例:太陽光)を遮断するインキです。 透明のシートに印刷することにより形成した塗膜は、赤外線以外を通さないため、リモコンの受光部や、携帯電話の赤外線受信部に使用されます。
例えば、IR透過インキをスマートフォンのIR受光部に使用することで、シームレスなデザイン(継ぎ目のないデザイン)が可能となります。
2.IR(赤外線)以外の様々な波長光に対応可能なセンサー対応インキ
IR透過インキは透過させる波長光を調整することで、様々なセンサーの受光部に使用可能なセンサー対応インキとなります。
IR センサー用インキ |
用途:リモコン、IRデータ転送 |
白色 IR 透過インキ |
実現が困難であった白色での IR透過を東レPICASUS®125-QP4Aとの組合せにより実現 |
人感センサー用インキ |
用途: 近辺の人や障害物の有無を感知。IR発信機と受信機が1セット。 |
眼紋認証センサー用インキ |
用途: 特定ランプを顔にあて、目から射した光を感知 |
カメラセンサー用インキ |
用途: カメラ焦点決め |
環境の熱センサー用インキ |
用途: 近辺環境の熱を感知するセンサー |
環境明暗対応センサー (ALS)用インキ |
用途: 環境明暗を感知し、周囲電気や画面の明暗を調整 |
使用例:
スマートフォン、自動車
各機能の透過チャート
インキの透過波長を制御することで、センサー機能とデザイン性の両立が可能となります。
2. 高解像度カラー分解によるコスト削減のご提案
1.10版10工程を5版5工程に。製版費・作業費の大幅削減
通常、イラスト画像や写真画像の印刷をスクリーン印刷で行う場合、画像の色相に合わせた色を重ね合わせて印刷を行います。 そのため、色数が多ければ、版数·工程数が増え、コストが上がります。
しかし、高精彩カラー分解インキでは、4 色で同様の高解像度画像が再現できるため、版数や工程数を削減出来、 低コストでイラスト画像や写真画像の印刷が可能になります。
使用例:
高解像度画像印刷
従来インキ(上)と高精彩インキ(下)のカラー分解印刷工程の比較。
従来インキ(上)では、10製版10工程が必要となります。
一方、高精彩インキ(下)では、その半数のわずか5製版と5工程で完成しています。
3. 高い印刷品質と優れた作業性を持つガラス用インキのご紹介
1.ガラス用高ダインインキの優れた特徴
- 塗膜のダイン値が42以上と高く、安定した塗膜を実現します。
- そのため、各種ボンドや両面テープを使用する後加工性にも優れます。
- 従来のガラス用インキ(150°C) と比較して低温(120°C)で乾燥可能です。
- MEK、アセトン等に対して優れた耐溶剤性を発揮します。
- 流動性、チキソ性の調整により端面がシャープな印刷が可能です。
使用例:
スマートフォン、タッチパネルの窓枠の加飾
優れた印刷端面の例(黒ベタ中の円形(直径 1mmの円)の抜き印刷)
従来品(左)と比較し、高ダインインキ(右)は、美しい印刷境界線が実現されています。
インキの種類:
- DS-HF 60705 CS(試作品)
4. 透過色の印刷時に発生する透過不良問題の解決
1.従来品にない高い透明度を持つインキによる透過不良問題の解決
スモーク印刷や I R 透過印刷等で発生する透過不良の原因は、以下の4つが考えられます。
1) 使用される顔料の粒子
2) 塗膜のレベリング
3) 高膜厚
4) インキの粘度変化
高い透明度を持つMIX-HF·TOC-HFは、上記原因を解決し、高品質の透過印刷を実現します。
なお、各インキの透過率とヘイズ値は以下の通りです。
インキ名 | 透過率 | ヘイズ値 |
MIX-HF メジウム | 90.7% | 0.7% |
TOC-HF メジウム | 89.4% | 0.6% |
使用例:
スマートフォン、タッチパネル、自動車メーター
カーナビ等の表示部材
(グレー色の印刷と高い透明性の両立)
5. スクリーン印刷時の塗膜のムラの解決
1.ムラの原因となるインキの物性変化を抑え、高品質を実現する高精彩インキ
メタリックやパール材の印刷時は、インキの粘度変化やスキージから版上にインキが垂れる事で、 メタリック粉やパール粉の密度や配向が変化し、塗膜にムラが発生することがあります。
しかし、高精彩インキはメタリックやパールを含んでも優れた物性値を維持するため、ムラの無く印刷する事が可能です。
使用例:
スマートフォン、タッチパネル、自動車メーター
パールインキを印刷した例(背面からの光のため黒く見えます。)
従来品(左)にムラが確認される。高精彩パールインキ(右)は塗膜が均一。
6. 優れた日焼け止めクリーム耐性を持つクリアーのご紹介
1.JS-HF 70317 FT クリアー(試作品)の持つ優れた特徴
- 被印刷体 ポリカーボネート、アクリル
- 日焼け止めクリームや乳酸等の薬品に対し、高い耐性を有します。
- 成形時に300%の伸びが可能です。
- 二段階硬化型 のクリアーになります。
プレキュア : 熱乾燥 8 0℃/ 6 0 分
成形 :真空成形 、超圧空成形
アフターキュア: 積算光量 250~300mJ/cm2、ピーク強度 3 50mW/cm2
使用例:
自動車内装
日焼け止めクリーム耐性が無いために塗膜が白く侵されている。
日焼け止めクリーム耐性の持つクリアーにより影響なし。
7. 高精彩インキの持つ「7つの便益」のご紹介
便益 1. 微細印刷性
表現・デザインを綺麗に高解像に実現します。100µmの毛髪程の微細なラインを100µm~116µmの精度で印刷します。
従来インキ(左)(上)線幅50µmと微細なため文字が滲みます。
高精彩インキ(右)(下)線幅50µmの微細文字も印刷可能です。
便益 2. ベタと細線の同時印刷
高精彩インキでは、ベタ·細線·グラデーションの同時印刷が可能なため、製版数·工数の低減による大幅なコスト削減が可能となります。
ベタ-細線(30µm)-ベタ-グラデーションを同時に印刷した例
便益 3. ソーエッジ対応性
10µm以下のソーエッジで、凸凹のない綺麗な直線や真円を実現します。
下記はスマートフォン窓枠の抜き印刷(直径 1mmの円)の例です。
従来品(左)の印刷境界線には凸凹が発生しています。
一方、高精彩インキ(右)は美しい印刷境界線を実現しています。
便益 4. 連続印刷性
高精彩インキは、生産効率向上と不良率低減を両立します。100µm~116µmの微細印刷でも1500枚の連続印刷が可能です。
従来インキ(左)(上)300枚目で飛び散りが発生しています。
高精彩インキ(右)(下)1500枚連続印刷をしても安定して仕上がります。
便益 5. 高速印刷性
高精彩インキは、100µm~116µmの微細印刷でもシリンダー印刷機により 800~1500枚/時の高速印刷が可能です。
便益 6. 再印刷性
版上にインキを被せ 1時間放置しても再印刷が可能です。印刷作業の中断時の手間の削減など作業性が大幅に向上します。
従来インキ(左)を版上30分間放置後。 高精彩インキ(右)を版上放置1時間
便益 7. 刷版洗浄回数の削減
高精彩インキは、従来品と比較して刷版の洗浄回数を5分の1程度まで削減が可能です。(従来品:300枚印刷で刷版の洗浄1回程度。 高精彩インキ:1500枚印刷で1回程度)
安定した印刷で、 刷版の洗浄回数を 5分の1に削減!
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