非導電(Non-Conductive)墨インキと漆黒墨インキ
機能性墨インキのご紹介
機能性墨インキとして、2つのインキをご紹介します。
1.塗膜が高い電気抵抗特性を有する(電気を通しにくい)非導電墨インキ
2.深みのある黒色(ピアノブラック)の発現により高級感を付与する漆黒墨インキ
1. 非導電墨インキのご紹介
塗膜の電気抵抗値が高く、電気を通しにくい機能を与える事が出来るインキである非導電(Non-Conductive)墨インキのご紹介。
非導電墨:非導電性と隠蔽性の両立
1) カーボンブラック顔料の導電性による問題
一般的に、墨インキに使用している顔料はカーボンブラックが主流です。
しかし、このカーボンブラックは導電性を持つために、インキ化して塗膜にすると、塗膜の電気抵抗が低く(電気を通しやすく)なります。そのため、塗膜に電流が流れてしまうと、瞬間的にスパークしてしまい電子部品等が壊れてしまうことがあります。また、デザイン性の為、携帯電話などのディスプレイ部分に印刷した時には、内蔵アンテナに電波障害を起こすこともあります。
これらの不具合をなくすために、電気抵抗の高い(電気を通しにくい)非導電墨インキが要求されてきました。
2) 非導電墨インキの隠蔽性の問題
一方、これまでの非導電墨インキはカーボンブラックを使わない為に、色の混ぜ合わせによって、黒色を出していました。その為、隠蔽性がありませんでした。
しかし、パソコンや携帯電話のディスプレイの印刷など、デザイン性・機能性の観点から高い隠蔽性が、要求されるケースが多くありました。
3) 非導電性と隠蔽性の両立
そこで、非導電性と隠蔽性の問題を解決するべく、これらの機能を両立する 非導電墨インキを開発致しました。
当社の非導電墨インキは通常の墨インキと同様の隠蔽性を持つために、遮光性を要求する薄型テレビ・ 携帯電話のディスプレイ印刷などに適しています。
また機器の誤作動防止、電波特性向上の効果も期待できます。
参考: 印刷塗膜の事例
非導電墨インキをディスプレイの外枠部分に使用した例です。裏側にアンテナなどの電波機器が設置されます。
図1:従来の非導電性インキ(調色による黒)と「非導電性墨インキ」の黒色の違い
隠蔽性が明らかに違うことが写真でご確認いただけます。
非導電墨:特徴
1) 高い電気抵抗特性:
どのインキシリーズにおいても 1014 Ω 以上の表面電気抵抗値を示します。
(通常の墨インキでは電気抵抗値が 105 ~ 1010 Ω となります)
特に、POSインキ、MRXインキシリーズにおいては 1015 Ω 以上の実績があります。
2) 様々なインキシリーズに対応
当社溶剤型インキの多くで対応可能なことから、適用する素材の幅が広く、PC、ハードコートアクリル、 ガラスなど、印刷材料を選びません。
現在ラインアップしている非導電墨インキには、POS、MRX、INQインキシリーズなどがあります。
3) 加飾部分に制限なし
デザインを印刷した最背面に押さえ印刷として使用できることから、前面に施されたデザインを損ないません。
通常の墨インキと同じ様に扱えます。
また、デザイン印刷と同様にスクリーン印刷にて高い電気抵抗値をもった塗膜を形成できるため、製造工程の短縮にも効果が期待できます。
図2:多色刷りされた成形印刷物
2.漆黒墨インキのご紹介
漆黒色により商品に高級感を付与する漆黒墨インキのご紹介。
漆黒墨:漆黒色による高級感の付与
商品の高付加価値化に貢献
「ピアノブラック」や 「漆黒」と呼ばれる光沢のある黒色仕上げを実現する漆黒墨インキです。
漆のような高級感のある艶や独特の輝きを実現し、商品の高付加価値化に貢献致します。
図3:漆黒色により高級感のある艶や独特の輝きを実現した成形印刷物
図4:拡大写真
漆黒墨:使用上の注意
* 一液型成形用インキISX-ピアノブラックを使用して下さい。
* 裏刷りでご使用下さい。
1層目に漆黒の意匠層として、ISX-ピアノブラックを印刷し 2層目以降に、墨インキを重ねる事で漆黒が表現できます。
* 重ねられる墨インキはISX、IPX、INQ、MRX等の溶剤型インキとなります。
図5:漆黒墨インキの印刷断面図による裏刷仕様のご説明図
漆黒墨についての詳しい使用方法については、お問い合わせ下さい。
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